『水泳選手のための栄養』の紹介①(はじめに)

こんにちは。スイムアカデミアです。
日本水泳連盟のサイトにFINAが作成した英語の冊子『Nutrition for Aquatinc Athletes』の翻訳がアップされています。

『水泳選手のための栄養』
リンク:https://swim.or.jp/committee_news/6445/

読んでみて大変参考になったので、要約して紹介していきます。
この冊子は次のような構成です。

  • はじめに
  • パート1 一般原則:栄養摂取の目標と食品の摂り方
  • パート2 水泳競技種目別栄養
  • パート3 食事における戦略
  • パート4 資料

日頃の栄養摂取、つまり食事について、考える際の基本方針として参考にできると思います。

■重要原則

「はじめに」のパートに重要原則という項目があります。
ここではスポーツにとって食事がいかに重要かが述べられています。
食事をトレーニングの質や大会での成績に直接影響するものとして捉えなおすことが大切です。

また私たち一人ひとりは異なっているため、食事にも個々に合わせて柔軟性をもつことが必要です。
他の人があう食べ物でも、自分には合わない場合や、その逆もあるかもしれません。
自分に最適となるように食事をコントロールすることも重要です。

 

■パート1 一般原則:栄養接種の目標と食品の摂り方

私たちがからだを動かしていくには、エネルギーが必要です。
ここでは、食事を中心にエネルギーについて考えていきます。
エネルギーの必要量は大きく以下の3つで決定されます。

  • 基礎代謝
  • 成長
  • 身体活動

これらの全ての活動を十分に行うために十分なエネルギーが必要です。これがエネルギー必要量となります。
私たちは、エネルギーの消費も行っているので、食事から摂取するエネルギー量とのバランスを考えるときに

エネルギーバランス=「摂取するエネルギー」ー「消費するエネルギー」

となります。エネルギーバランスがとれているのが望ましいとされます。
またこの冊子では、利用可能エネルギーという概念を紹介しています。

利用可能エネルギー=「エネルギー摂取量」ー「トレーニング/大会でのエネルギー消費量」

”利用可能エネルギーとは身体に重要な生理活動を維持するために利用できるエネルギー量のことである”と定義しています。
アスリートは、トレーニング等で普通の人より多くのエネルギー消費をしています。
その摂取したエネルギーに対して、トレーニング等でのエネルギー消費が多いと、
結局利用可能エネルギーは少なくなり、トレーニング終了後の筋肉の回復や体の成長に回るエネルギーが少なくなります。

つまりトレーニングで消費された後に残っている利用可能エネルギーの量がどうなっているか、という視点がとても大切になります。

 

利用可能エネルギーが不足している場合に起こることとして、以下のことがあります。

  • 基礎代謝低下
  • 免疫力低下
  • ホルモン機能低下

また食事からのエネルギーが不足したスイマーは、長距離トレーニングでレーススピードが落ちるという報告もあります。
そして利用可能エネルギーの不足という事態は、体重が軽い選手だけでなく体重が安定している選手にも、高い確率で起きているということが述べられています。

 

利用可能エネルギーが不足しがちな状況として以下3つが紹介されています。

  1. 食生活が乱れたり摂食障害がある時
  2. 体重コントロールや体脂肪減少を目的に食事量を減らす時
  3. トレーニングや大会で運動強度などが高いが、エネルギー摂取量が少ない時

特に「3.トレーニングや大会で運動強度などが高いが、エネルギー摂取量が少ない時」は、食事摂取量を運動量の増加にあわせて増やせていないということです。ハードな練習をしたときにお腹がすき、食事をいっぱい食べたくなるというのは自然なことですが、その感覚を大切にし、かつ定量的にも食事量を把握できるといいと思います。

 

冊子には、さらなるヒントや利用可能エネルギーの具体例などもありますので、ぜひ冊子を見てみてください。
今回は以上です。

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